価格を決定する際には市場分析や競合分析を行うことが定石ですが、中小企業でよく失敗しがちな価格決定として「とにかく値下げする」といった方法をとる企業もたくさんいます。
例にもれず私も値下げ戦略で失敗した経験があります。今回は実体験も含めて値下げ戦略が失敗するシンプルな理由を紹介します。
Contents
【価格の決め方】値下げ戦略が失敗するシンプルな理由
価格を決定する際に値下げをするのがなぜ悪手なのかというと「安いものを探している消費者は一番安い商品を買うため」です。
2番目に安い価格に設定したところで、消費者に選ばれることはありません。
自分自身に置き換えると分かると思いますが、とにかく安いシャンプーを探していて下記の5つがあったらどの商品を選ぶでしょうか。
A社 | 100円 |
---|---|
B社 | 150円 |
C社 | 120円 |
D社 | 50円 |
E社 | 100円 |
とにかく安いシャンプーを探している人であれば、必ずD社を選ぶはずです。
価格を下げる時は世界で一番安く設定する
上記のケースでは5社ならべて紹介しましたが、ようするに価格競争で勝つのは最安値の1社だけです。
もし価格競争するのであれば、「日本で一番安くする」くらいの覚悟でなければ必ず失敗します。
AMAZONや楽天などで商品を探していると、1円単位で値下げしている出品者もいます。これは「1円でも安い会社を探している層」を狙い撃ちしています。
実際に1円でも安いほうが売れます。
1番安い会社と2番目に安い会社であれば、1番のほうが圧倒的に売れます。これであれば、少しのリスクをとって競合よりも1円でも安くしたほうがいいですね。
安易に価格を下げると悪循環が生まれます。
価格は最安値にしないと必ず負けます。戦略があれば別ですが、安易な値下げはたくさんの悪循環を生みます。
わかりやすい例でいうとサービスの低下です。
当たり前ですが、高い金額をもらってるからこそ提供できるサービスがあります。高級なホテルであれば、徹底的に教育されたフロントマンがいて、ドアマンがいて、ベルボーイがいます。
しかし格安ビジネスホテルであれば、そういったサービスはありません。自分で荷物を運びますし、ルームサービスもありません。
価格を下げ続けるとこうした状況に巻き込まれていきます。
価格を下げる→サービスが低下する→客離れ
上記は当たり前の図式ですので値段を下げる前に覚えておいたほうがよいでしょう。
新規獲得に追われます。
もうひとつ。
価格を下げるとその分、新規顧客を獲得しなければ企業活動が継続できなくなります。
売上げを上げる方法は以下の通りです。
客単価×顧客数×購入頻度
客単価を下げるのであれば、新規顧客を獲得するか、既存客の購入頻度を上げなければ会社の売上げは落ちていきます。
新規顧客獲得・既存客の購入頻度を上げる
どちらも新たに予算を投入しなければできないことですので今までに掛かっていなかったお金がかかってきます。
例えば、
- 広告予算
- チラシ
- 名刺
などですね。特に新規顧客の広告予算はかなり大きな出費が掛かります。
さらに怖いのが、新規獲得がうまくいくとは限らない。という点です。
価格を値下げ→新規顧客失敗→倒産
上記の図式もよくある話です。安易な値下げはかなりリスキーです。
【私の実体験】WEBサービスで低価格戦略
ここでわたしの実体験を紹介します。
私は数年前にWEBサービスを運営していました。
当時はとにかく安ければサービスを使ってもらえるであろうと、一般相場の1/3程度(もっと低かったかも)で価格設定しました。←これかなりヤバイ考え方なので注意してください。
価格が安い=利益が少ないため
- 人件費をかけられない(ほぼ一人で運営)
- 広告費かけられない(利益がないからほとんど回せない)
- サービスの低下(一人だから限界ある)
案の定、すぐに息詰まりサービスを辞めました。
価格だけがすべての要因ではないと思いますが、最初の価格決定はかなり重要です。
これから新規事業を始めようとする方はむしろ値上げできる要素をたくさん探したほうがよいと思います。
価格設定に関する面白い話
ある企業が在庫一掃セールで安売りを行ったのですが、ほとんど売れず・・あるとき経営者とスタッフの連絡ミスで価格を2倍にしたところ全部売れたとさ
という話です。
恐らく消費者がそれだけ価値のあるものだと判断したのだと思います。
価格は価値です。
この考えを理解すると安易に値下げをすることもなくなるのかなと思います。
まとめ
要点をまとめます。
- 値下げするなら日本一安く
- 値下げをすると新規顧客獲得・リピート率の向上の施策を打つ必要がある
- 価格=価値
値上げをする価格設定について勉強したい方は下記の本が参考になります。ビジネスには必須の知識ですので、興味ある方はぜひ手に取ってみてください。